最終更新日:2008年8月6日

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◆第68回デジタル・ドキュメント研究会

 (主査: 大場 みち子,幹事: 鬼塚 真, 斎藤 伸雄, 菅沼 明, 中挾 知延子)

日 時:平成 20 年 9 月 26 日 (金) 13:00 〜 18:00

会 場:日立製作所 大森ベルポートA館 13階来客コーナー
http://www.omoribellport.com/about/map.htmlをご覧ください。


テーマ:デジタルアーカイブの健康診断
〜今、どう使えるか。次世紀へ何を伝えるか〜


【セッション1:データ管理】一般講演(13:00〜14:30) [3件]
(1) 13:00-13:30
経済物理学における大容量デジタルデータの収集、保管、操作、
および 管理について
Collection, Storage, Handling, and Management of Massive
Digital Data in the Field of Econophysics
○佐藤彰洋(京都大・情報)、石川温(金沢学院大・経営情報)、
増川純一(福山平成大・経営)、田中美栄子(鳥取大・工)

近年の情報通信技術の発展の結果、人間の経済活動に関する、網羅的
で高精度なデジタルデータが蓄積されつつある。これらのデジタルデータ
の収集、保管、操作、管理は人間の認知能力を遙かに超える量であるが
故に、方法論や仕組み、体制を整備して利用を行わなければデータの喪
失や不整合などの諸問題が入り込む余地があり得る。現在、我々をはじ
めとする経済学、物理学、情報学の研究者が共同で、「経済物理学」と呼
ばれる物理的視点に立った人間の社会活動を実証的に分析する研究分
野を形成し、研究活動が展開されている。しかしながら、これまでの経済
物理学の研究においては、個人研究のレベルでの大容量データ分析は
行われてきたが、組織的な研究体制の整備が素粒子物理学、宇宙物理
学、生物物理学、分子生物学などに比べ未成熟であったため、データ容
量に起因する分析可能データ量の制限に直面してきた。今後、個人研究
で行われてきた分析を統合し、網羅的かつ総合的に大容量データを分析
し利用する研究が発展していくと期待されている。本講演では、人間活動
に関する大容量デジタルデータの利用において、データの収集から保管、
操作、管理を行う上で生じ得る諸問題を整理し、その方策を議論する。

(2) 13:30-14:00
非常時における運用を念頭においた小規模文書管理システム
A Small Document Management System for Emergency Situations
◯大野 浩之(金沢大学)

著者は,「大規模災害時等の『非常時』にどのような情報通信システムが
あれば被災直後の自助および共助の時期の被災者に貢献できるか」につい
て検討を重ねている.これまでに「非常時の自助共助に資する非常時対応
電子アーミーナイフ」(ε-ARK) というコンセプトを提唱し,「ε-ARK端末」
の試作を行っている.ε-ARK端末は,電子手帳あるいは携帯電話の延長上
に位置する端末装置として平常時には個人常用環境の一翼を担う一方,非
常時においては,データベース,サーバ,ルータなどの機能を提供して,
自助および共助の時期に被災者の情報通信環境支援に貢献する.
従来のε-ARK 端末にはデータベース機能は実装されていたものの,非常時
において混乱なく文書を発行し管理する用途に合致する機能はなかった.
今回,バッテリ駆動可能で Bluetooth インタフェースを持つ A6 サイズの
熱転写プリンタを入手したので,このプリンタ用のプリンタドライバを新
規に作成し,これに QRコードを活用した文書管理機能を付加して,
PDF/PostScript プリンタとしてネットワーク上から利用可能にした.この
非常時を念頭においた文書管理システムは,Linux 上に作られたオープン
ソースシステムであるため,誰でも参照し利用できる.今回の発表では,
このシステムの根幹部分を成す文書管理機構を中心に報告し,今後の研究
の展開についても述べる.

(3) 14:00-14:30
企業におけるディジタルアーカイブの取り組みとその技術的課題
The Technical Challenges of Undertaking Activity for Digital Archives
○秋元 良仁、斎藤 伸雄(凸版印刷)

近年,種々の文化資産をディジタル化し,保存・活用しようとする動きが
活発である.企業においては,このような活動を支援するための情報システ
ムの提案,構築,運用が盛んに行われている.本稿では,様々なディジタル
アーカイブ向け情報システムを概観し,特に運用上の観点からアーカイブさ
れたデータを長期保存するための技術的課題について考察する.

−−− 休憩 ( 10分 ) −−−

【セッション2:データの活用】一般講演(14:40〜16:10) [3件]
(4) 14:40-15:10
文献検索における一次情報(デジタルアーカイブ)活用動向
Primary information (digital archive) use trend in document retrieval
○吉川慎一、植松利晃(JST)

二次情報を用いた文献検索システムは、膨大な文献データから特定の文献を
探し出す目的で利用されている。探し出した文献の一次情報(全文)を入手
する方法として、従来は文献を所蔵している図書館へ出向く、複写サービス
を利用する等が行われていたが、デジタルアーカイブ化が進むことにより、
二次情報からの全文リンクを使用して一次情報を直接表示、入手することが
可能になってきている。
本発表では、全般的な動向とJSTが提供するJDreamIIでの全文リンク方式の変
更による利用状況の変化について調査し、報告する。

(5) 15:10-15:40
文書の編集関係を利用した文書の探索方法について
○長谷川雅一、綱川光明、鷲崎誠司(NTT SP研)

(6) 15:40-16:10
東京国立博物館における収蔵品管理システムの開発
Development of Collection Management System at Tokyo National Museum
○村田良二(東京国立博物館)

「ミュージアム資料情報構造化モデル」を基盤として、分散していた情報源
を統合しつつ収蔵品情報を一元的に管理すべく開発を継続しているシステム
について、具体的な実装および開発プロセスについて紹介する。

−−− 休憩 ( 10分 ) −−−

【セッション3】招待講演(16:20〜17:20) [1件]
(7) 15:20-16:20
デジタルアーカイブが意味するもの 〜その変遷とこれから〜
笠羽晴夫 (元デジタルアーカイブ推進協議会事務局長)

【セッション4:デジタルアーカイブの健康診断】討論会(17:20〜18:00)
参加者全員
モデレータ 細見 格(NEC)