最終更新日:2007年9月27日


◆第63回デジタル・ドキュメント研究会

 (主査: 大場 みち子,幹事: 鬼塚 真, 斎藤 伸雄, 菅沼 明, 中挾 知延子)

日 時:平成 19 年 9 月 28 日 (金) 10:00 〜 18:00

会 場:日立製作所 大森ベルポートA館 13階来客コーナー
http://www.omoribellport.com/about/map.htmlをご覧ください。
合同開催:電子情報通信学会 異文化コラボレーション時限研究会 (委員長:片桐恭弘,幹事:吉野孝 山下直美,幹事補佐:中西英之) http://sigic.sys.wakayama-u.ac.jp/ 協  賛:XMLコンソーシアム テーマ:社会の活動を支えるデジタルドキュメント 今回の研究会は昨年末開催された「情報社会のデザイン・シンポジウム」 のテーマを受け,シンポジウム共同開催の6研究会(*)で共有テーマとなって います。 (*)情報処理学会)電子化知的財産・社会基盤研究会(EIP) 情報処理学会)デジタルドキュメント研究会(DD) 電子情報通信学会)人工知能と知識処理研究専門委員会(AI) 電子情報通信学会)マルチメディア・仮想環境基礎研究会(MVE) 電子情報通信学会)異文化コラボレーション時限研究会(IC) 人工知能学会)社会におけるAI研究会(SAI) 10:00-12:00 (1) 情報技術テキストコンテンツのためのOWL記述ツールの開発 The development of the OWL description tool for information technology text contents. ○都原 安貴(東京工科大), 塚本 享治(東京工科大) (2) 情報取得支援のための用語索引システム A Terminology Index for aiding Information Acquisition ○遠藤 健一(国立印刷局), 藏野 昌彦(国立印刷局), 梅澤 淳子(国立印刷局) 概要: 官庁ホームページに掲載されている「△年版○○白書」のような,内容的にまと まりのある複数の文書ファイルのグループを主な対象として,これらのファイルから の情報取得を支援するための用語索引を試作した。 (3) 表層表現抽出と論理構造解析に基づく規程文書構造化技術の開発 ○布目 光生(株式会社東芝), 後藤 和之(東芝ソリューション株式会社) 13:00-14:00 (*) 招待講演 ○石田 亨(京都大学情報学研究科)
演題:言語グリッドと異文化コラボレーション 14:20-16:20 (4) 区切り記号の配置を利用しての書誌要素の自動抽出 Automatic extraction of the bibliographic elements using arrangement of delimiters 〇林 典門(信州大学大学院), 海尻 賢二(信州大学大学院) 概要: 書誌目録データには書誌要素ごとに頭にタグを付してこのタグで要素項目の識 別をする(タイトル,著者,価格,等)。このタグはデータベースにより全て異なる,これ らの目録の条件処理を行いタイトル,著者,書誌事項の識別を自動的に行うのが研究の 目的である。書誌情報の文字列に配分されている区分記号(デルミタ)の分析により書 誌要素の自動抽出をする。書誌目録において,書誌要素の配列順序と項目の繰り返し によって出現した要素に依存して,次に出現する要素の確率が決まる。書誌目録の内 容については,マルコフ過程のモデルとして考えるならば,直前の書誌要素の並びから 次の書誌要素を出現させるという確率的挙動を示している。この考え方で目録情報を デリミターの配置と,書誌項目の配列を機械的に分析し書誌項目を抽出する。 (5) 翻訳不適箇所指摘による翻訳リペアコストと翻訳リペア精度の評価 Evaluation of Translation Repair Cost and Accuracy on Providing Translation Inadequacy Part ○宮部 真衣(和歌山大学), 吉野 孝(和歌山大学/NICT) 概要: 翻訳リペアは,不適切な翻訳箇所の少ないメッセージを作成する方法として,機 械翻訳を用いたコミュニケーションにおいて重要な役割を果たすと考えられる。 しかし,翻訳リペアを適切に行うには,母国語の十分な知識が必要であり,適切な リペアを行えるかどうかは個人の能力に依存する。 そこで,本研究では形態素解析を利用した翻訳不適箇所の指摘を行う。 また,翻訳不適箇所指摘を用いた翻訳リペア実験を行い,指摘による翻訳リペア コストと翻訳リペア精度の評価を行う。 (6) 文章のシームレスな表示に関する研究―電子テキストの拡大・縮小表示の構想と 概要― A Study for Displaying Book with Seamless Pages -- Basic Concept for Magnifying and Simplifying System for Enhanced View of Text -- ○杉山 正治(大谷大学), 生田 敦司(大谷大学), 齋藤 晋(大谷大学), 柴田 みゆ き(大谷大学), 宮下 晴輝(大谷大学) 概要: 人が本を扱う時,目次・索引と本文を相互に参照する。電子テキストでその行為 を再現する際,過剰なリンクはページ遷移を多く生む。本研究ではページ遷移の無い 文章表示を検討した。プロトタイプにAjaxを用いた。 16:40-18:00 (7) Webによる取扱説明書の可能性―情報家電製品分野におけるWebマニュアルの試作 ― ○高橋 慈子(株式会社ハーティネス), 大和田 潤治(キヤノン株式会社), 大野 邦夫(職業能力開発総合大学校) 概要: デジタルテレビを中心に家庭への情報家電製品の普及が進んできた。ネットワ ークを利用して多様な製品を接続して使うことが前提となっている製品ではあるが, 接続方法は複雑で利用者には理解しづらい。また,メーカーを超えた製品については, 接続後に何ができるかの情報も少ない。 TC協会WWebコミュニケーション調査・研究WGでは,デジタルテレビ用のポータル サイト「アクトビラ」に研究利用のための許可をいただき,異メーカー間をつなぐWeb マニュアルを試作し,今後のWebマニュアルのあり方を検証した。テレビで検索し,分 かりやすく情報提示デザイン,操作性を通して,今後の製品情報の提供方法の方向性を 考察する。 (8) ドキュメント文化と社会的性格:D・リースマンの思想に基づく考察 Document Culture and the Social Character: A Study based on the Sociology of David Riesman ○大野 邦夫(職業能力開発総合大学校) 概要: デイビッド・リースマンは,「孤独な群衆」において,社会的性格を歴史の発展 段階に対応させて伝統指向,内部指向,他人指向に分類した。さらに,「何のための豊 かさ」では,伝承・文字・映像という,コミュニケーション・メディアと伝統指向,内 部指向,他人指向という社会的性格を対応付けることを試みている。今日の情報社会 における社会的性格が他人指向であり,かつコミュニケーション・メディアにおける 映像の優位性を考えると,半世紀前のリースマンの分類はきわめて妥当であると言え る。だがこのモデルは,欧米においては妥当であるが,日本の場合には必ずしも当ては まらない。その状況をドキュメント文化を軸に考察する。